【腰痛難民へ】保険診療と自由診療を施術者目線で解説

腰痛 女性

半年前から腰が痛くて、整形外科で電気かけて湿布をもらっているけど全然良くならない…

隣の奥さんは1回6,000円もかかる整体に通って調子良さそうだけど、病院の保険診療と、整体の自費の治療って何が違うのかしら?

 

 

こんにちは、カラダ・ラボ オレンジです。

今回のテーマは【保険診療と自由診療】です。

 

困ったヒト
腰が痛い!

となった時、まずは病院に行かれる方が多いと思います。

それは保険が使えて安いし医師に診てもらえるから。

以前接骨院・整骨院にお世話になったことがあり信頼できる先生がいる場合は、病院へは行かずとりあえず接骨院(整骨院)に行く方もいるかもしれません。

しかし、最近は「整体」という看板が街にあふれ、慢性的な腰痛に関して自由診療で治療する方も増えています。今回はそんな自由診療保険診療と比較しながら掘り下げていこうと思います。

 

本来、診療という言葉は治療行為を示すので整体などでは使えない言葉ですが、今回はわかりやすいように【保険じゃない治療=自由診療】という定義で話をすすめていきたいと思います。

 

腰痛の保険診療と自由診療の違い

腰痛

保険診療が行えるのは病院(整形外科)または接骨院(整骨院)や鍼灸院で、整体院では自費の治療となります。

ここでは、保険診療と自由診療の内容の違いを細かく解説していきたいと思います。

 

保険診療は国が認めたスタンダードな治療

保険診療とは、健康保険などの医療制度が適応される診療のことです。

そのため、国民健康保険や協会けんぽなど公的健康保険制度に加入している場合、窓口負担は診療費用の3割(現役世代)と安く医療を受けられます。

しかし、保険診療が適応される検査や治療方法には決まりがあるため、腰痛にはこの検査、この薬、この治療法と制限がありその中で治療をしなければなりません。

腰痛の保険診療の一例

【整形外科の場合】

  1. 医師による問診、検査(レントゲン)、診断
  2. リハビリ(温熱療法、電気療法、運動療法)
  3. 薬や湿布の処方

 

 

自由診療は自己責任を伴う諸刃の刃

自由診療とは、保険が適用されない診療のことで診療費用の全てが自己負担(10割負担)となります。

具体的には、最先端の機材を用いた手術や海外ではメジャーでも日本では浸透されていない手技などです。

自由診療は10年後には保険診療に適応されているような症例数が少ないだけの良い治療法もあれば、”詐欺”といってもいいような全く腰痛に効果がない治療法でも高額の医療費を請求されることがあります。

自由診療を受ける際には、きめ細やかに問診・評価をするところを選び、しっかり治療の説明を聞き自己責任の範囲で治療を受けましょう。

さまざまな自由診療

  • カイロプラクティック
  • オステオパシー
  • プラセンタ注射
  • AKA療法

 

今後の腰痛治療は患者リテラシーが求められる⁈

リテラシーとは「ある特定分野の事象や情報を正しく理解・分析・整理し、それを自分の言葉で表現したり、判断する能力」という意味で、腰痛治療を受ける時にはこのリテラシーがないと損をしてしまう可能性が高いです。

今後の日本は年々増大する医療費を削減するためにどんどん保険治療の範囲が狭くなり、自由診療に頼らざる負えなくなります。近い将来漢方や湿布は病院で処方してもらえなくなると思います。

そうなると自分に合う漢方や湿布を薬局で自分で選ばなくてはいけなくなるのです。薬だけでなく治療法についても「自分で選ぶ医療」の幅が増えてきます。

そんな時、腰痛に対する知識が不十分だと明らかに腰痛に効果がないような治療法に手を出してしまって痛みが強くなったり、高額な回数券を買わされたりしてしまいます。

今から自分のカラダに真剣に向き合ってみませんか?

 

腰痛を扱う施設の特徴

カイロ

次に、病院や接骨院、整体院などそれぞれの施設の特徴を説明していきます。

それぞれメリット・デメリットがあるため現在のあなたのカラダに合わせてどこの誰に腰痛を診てもらうかが重要になってきます。

 

病院(整形外科)・・・保険診療○

病院の整形外科に受診すると、日本のスタンダードな腰痛治療が受けられます。

整形外科での腰痛治療は基本保険診療です。

 

整形外科の腰痛治療の特徴としては

  • 保険診療のため安い
  • 医師の診察によりレントゲンやMRIが受けられる
  • 診断と実際の腰痛の原因が違うことが多々ある
  • 待ち時間が長い

などが挙げられます。

 

接骨院(整骨院)・・・保険診療△

接骨院(整骨院)急性腰痛に対して保険診療で治療できますが、慢性的な腰痛は診ることができません。

接骨院(整骨院)とは、柔道整復師という国家資格を持ったものが開設している施術所で、保険診療で扱えるのはは「負傷原因が急性または亜急性(急性に準ずる)の外傷性の負傷」だけとなっています。つまり慢性的な腰痛は保険診療で診ることができません。

慢性的な腰痛に関しては、全て自由診療になります。

 

接骨院(整骨院)で行う腰痛治療の特徴は

  • 急性腰痛は保険診療で安い
  • 当たり外れがあり、良い接骨院・整骨院ではしっかり評価をしてくれる
  • 病院に比べ待ち時間が少ない
  • 慢性腰痛は自由診療になる
  • レントゲンやMRIは受けられない

などが挙げられます。

 

接骨院と整骨院の違いは

どちらも柔道整復師が開設する施術所で同じです。

他にも「ほねつぎ」という名称を使用できます。

 

鍼灸院・・・保険診療△

鍼灸院保険診療が出来る施術所ですが、医師の同意書が必須です。

鍼灸院とは、鍼灸師という国家資格を持ったものが開設している施術所で、医師の同意書があれば慢性の腰痛でも保険診療を受けれます。医師の同意書は6ヶ月ごとにもらう必要があり、その手間から自由診療のみ鍼灸院も多いです。

 

鍼灸院で行う腰痛治療の特徴は

  • 医師の同意書があれば慢性腰痛も保険診療が受けられる
  • 同意書は6ヶ月ごとに医師に書いてもらう必要がある
  • 同意書をもらう手間から自由診療のところが多い
  • 予約制の場合が多く待ち時間が少ない

などが挙げられます。

 

鍼灸院の保険適応疾患

神経痛…例えば坐骨神経痛など。

リウマチ…慢性で各関節が腫れて痛むもの。

腰痛症 …慢性の腰痛。

五十肩…肩の関節が痛く腕が挙がらないもの。

頚腕症候群…頚から肩、腕にかけてシビレ痛むもの。

頚椎捻挫後遺症…むち打ち症などの後遺症。

その他これらに類似する疾患など。

引用:日本鍼灸師学会

 

整体院・・・保険診療×(自由診療)

整体院保険診療は扱っていない施術所です。

整体とは、元々は2,000年前に誕生した中国伝統医療の「椎拿(すいな)」が起源といわれていますが、現在の日本で使用されている整体は明確な基準がないためいろいろな手技が「整体」といわれているのが現状です。

具体的には、カイロプラティック、オステオパシー、指圧などです。

保険治療は扱えないため、全て自費となります。そのため60分2,980円といった安価な治療から、1施術10,000円と高額な治療まで幅広くあります。

 

整体院で行う腰痛治療の特徴は

  • 保険治療が扱えない
  • どんな治療法か決まりがない
  • 当たり外れが大きい

などが挙げられます。

 

保険診療で満足出来ない人は自由診療も検討しましょう

検討中

これまで保険診療自由診療について解説してきました。

腰痛になったら危険な腰痛か判断するためにも、まずは日本のスタンダードな腰痛治療である保険診療が受けられる病院等を受診することをおすすめします。

しかし、保険診療でなかなか良くならない方は自由診療も検討されてはいかがでしょうか。

最後は保険診療と自由診療を施術者の立場からお話ししていきたいと思います。

 

私が鍼灸整骨院、整形外科で行っていた保険診療

私は鍼灸師、柔道整復師の国家資格を取得後、鍼灸整骨院に就職し、その後整形外科に転職しました。

そのどちらも主に保険診療での治療で、日本のスタンダードな腰痛治療を学ぶことができました。特に整形外科では「RED FLAG」といわれる大腸癌の骨転位などにも遭遇し、ほっとけば治るような腰痛から早急に手術や精査が必要な腰痛まで経験しました。

保険診療は、窓口負担が3割なためスタンダードな腰痛治療が安く受けられるというメリットもありますが、施術時間や治療法、治療期間に制限がありました。正直な話「これでは良くならないだろうな」「もう少し違う部位からアプローチできたらもっと良くなるのに」と思うことも日常茶飯事。また、診察室で医師が問診・評価・診断にかけられる時間は5分から長くても10分というのが現実です。そのため画像診断だけで病名を診断しがちで、診断名と痛みの原因が違うことも多々ありました。保険制度で安く医療を提供できる反面、さまざまな制約があるのが保険診療です。

 

一人一人と向き合う自由診療へ

約6年間、私は保険診療で治療してきましたが、私には保険診療での治療は合っていませんでした。

その一番の要因は1人の患者さんと向き合える時間が少な過ぎるという点です。

 

私は天才ではありません。患者さんの顔を見て何が原因でどこが悪いかということはわかりません。

そのため、患者さんの腰痛を治すためには患者さんの歴史を知って原因を一緒に考え、最高の治療を提供し、理解し実行できるまで自己ケアを指導するという一連の流れが必要です。

整形外科の保険診療でリハビリスタッフの私が1人の患者さんと向き合える時間は20分程度です。私にはその時間内で患者さんに本当に必要な治療を提供することは難しかったのです。なので今後は自由診療にシフトチェンジして一人一人の患者さんと向き合いながら治療していきたいと思います。

 

まとめ

今回は保険診療自由診療を解説しました。

日本のスタンダードな治療が受けられる保険診療と自分のカラダにあった治療が受けられるが自己責任が伴う自由診療。

それぞれにメリット・デメリットがありどちらが良い、悪いということではありません。

受動的に治療を受けるのではなく、しっかり自分のカラダと向き合い治療を選択していきましょう。

腰痛で苦しむ方が、一人でも多く少しでも早く自分に合った治療法が見つかるように今後も腰痛治療について発信していくので、一緒に学んでいきましょう。

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