
こんな疑問に答えます。
こんにちは、気ままなセラピストなおやです。
✔よく聞く疑問
歩いたり階段の上り下りで膝が痛む。
もし変形性膝関節症以外で、ひざの痛みが出るなら、どんな病気があるのだろう。
その病気の特徴なんかも知りたいな。
上記です。
ひざの痛み=変形性膝関節症
よくある答えですが、もしかしたらそのひざの痛みの、本当の原因は「変形によるもの」ではないかもしれません。
ひざの痛みを出す疾患は、変形以外にも様々あり、整形外科で勤務していて、いろいろな疾患に遭遇してきました。
整形外科での経験をもとに「変形性膝関節症」以外のひざの痛みについて、解説しつつ、その病気にどんな特徴があるのか補足していきます。
あなたは本当に「変形性膝関節症」ですか?
ひざの痛み=変形ではないです。ないです、といいますか、全てではないです。
✔変形性膝関節症(OA)とは、
膝OAは膝関節における関節軟骨の退行性変化とそれに由来する関節軟骨および骨組織の破壊ならびに増殖性変化に起因する膝関節症状を呈する疾患である。その症状は、一般的には初期段階では階段の昇降時や歩き始めの疼痛や正座や蹲踞姿勢が困難となる関節終末時痛を呈する。また、起床時の膝のこわばりや水腫などの滑膜炎に由来すると考えられる症状も呈することがあり、病期が進行すると慢性滑膜炎や関節軟骨・骨組織の破壊に由来すると考えられる膝関節痛および歩行困難が生じる。
引用)運動器の痛みプライマリ・ケア 膝・大腿の痛み 南江堂
ようするに、変形性膝関節症の症状をまとめると、
- 階段の上り下りの痛み
- 動きはじめの痛み
- 正座ができない
- しゃがめない
- ひざに水が貯まる
- 動く前にひざがこわばる
上記のような症状が見られます。
✔しかし、変形以外でもさっきの症状は起こる
残念なことに、変形以外でも上記の症状が起こることはありえます。
- ケガをした覚えがある時
- ケガをした覚えがない時
2つです。それぞれ考えられる病気も違い、対処法も異なります。
解説していきます。
ケガをした覚えがある時
ケガをした覚えがある時は下記の病気を疑います。
- 骨折
- 半月板損傷
- 靭帯損傷
これらの疾患は、一般的に「ケガ」と言われるものです。みなさんも1度位はしたことがあるのではないですか?
例えば、
- 転んで膝をついた→骨折
- 運動していて膝を捻った→半月板・靭帯損傷
明らかにこの動作をして痛くなったなど「原因がしっかりしている」ものになります。
ケガをした覚えがない時
ケガをした覚えがない場合は次の病気を疑います。
- 関節リウマチ
- 大腿骨内顆壊死
- 痛風・偽痛風
- 骨腫瘍
上記の場合は「なんだか原因はよくわからないけど、ひざが痛む」といった感じです。
- ひざもなんだか痛むけど手の指も痛む→関節リウマチ
- 急にひざが痛くなって夜も眠れない→大腿骨内顆壊死
- ひざが赤く腫れてすごく痛い→痛風・偽痛風
など。ケガと違って、これと言って思い当たることがない、けど膝が痛むこういったケースでは、さっき上げた疾患を疑います。
それぞれの病気の特徴を補足
先程紹介した病気について、簡単に補足していきます。
骨折
膝をついて転倒した、、、こんな時に起こります。
折れやすい部位は、
- ひざのお皿(膝蓋骨骨折)
- スネの骨(脛骨高原骨折)
が代表的です。診断方法は、
- レントゲン検査
- MRI検査
- CT検査
といった「画像診断」が重要です。
画像診断で、どこが折れているかを特定し、怪我の程度により
- 保存療法(ギプス固定などの固定・免荷)
- 手術療法(ワイヤー固定・プレート固定など)
で治療を行っていきます。
どれもしっかり治しておかないと、将来的に「変形性膝関節症」に移行していきやすくなるため、注意が必要です。
半月板損傷
半月板はひざの骨と骨の間にあるクッションです。捻挫などによって痛める場合もありますが、歳を取ると自然と損傷してしまう組織です。
ここだけのはなしですが、半月板って日常生活の中で、意外とよく損傷します。
診断方法は、
- MRI検査
- 徒手検査
MRI検査を中心に、徒手検査などと合わせて判断していくことが多いです。
治療としては、半月板の傷み具合や患者様の環境により、
- 保存療法(膝周りの筋力アップ・動作改善)
- 手術療法(縫合術・切除術)
などを行っていきます。
半月板は切除してしまうと、膝の軟骨にかかる負担が高くなります。
軟骨がダメージを受け、減っていくスピードが早くなる。
上記のとおりです。
なので、できるだけ半月板を残し、軟骨にかかるダメージを減らすことが、将来「変形性膝関節症」を防止するためには、とても重要になります。
そのためには、
- ひざに負担がかかる使い方を改善する
- ひざ周りの筋肉をしっかりさせる
- ひざの動きを十分維持する
などの、半月板に負担がかからないようにしていく事が超重要です。
半月板を大事にすることこそ、最大の「変形性膝関節症」の予防になると思います。
靭帯損傷
ひざには4つの靭帯があります。その靭帯は、ひざに大きな力が加わることによって損傷します。
靭帯が傷んだ場所によって、ひざの動きの制限が出たり、関節の中に血が溜まったりすることがあり。
症状としては、ひざが抜けそうになったり、外れそうになるなどの「不安定感」と言われるものが特徴的。
診断としては、
- MRI画像
- 徒手検査
半月板と同様に、MIR画像を中心に、徒手検査などを合わせて判断します。
治療に関しては、靭帯の損傷度合いに応じて、
- 保存療法(ギプス固定など)
- 手術療法(縫合術など)
上記を行っていきます。
特に、「不安定感」がある場合は、手術も選択肢の1つになります。
不安定感がある状態を放置すると、半月板損傷や骨損傷などが起こり、それがもとで「変形性膝関節症」になるスピードが早くなってしまう可能性があります。
早期に専門医に受診する必要ありです。
関節リウマチ
関節リウマチは、膠原病の一種で、関節が変形していってしまう病気です。
以前は、小さな関節(手指の関節)から両方いっぺんに発病すると言われていましたが、現在はそういうわけでもなく、片方のひざからだったり、といったこともあるようです。
診断は、
- エコー検査
- レントゲン検査
- 血液検査
で、病気を探してきます。
治療法に関しては、
- 薬物療法
- 運動療法
です。
薬物療法でリウマチの進行をおさえつつ、運動療法で関節が動かなくなるのを防いでいきます。
何れにせよ、薬によって進行をコントロールするのは必須。
大腿骨内顆壊死
大腿骨の内側の顆部に骨壊死が生じる原因不明の病気で、60才以上の女性に多い印象です。
歩いているときに、急にひざが痛くなり、夜に痛みが強くなるという特徴もあります。
診断は、
- レントゲン検査
- MRI検査
などの画像検査によって判断します。
骨壊死がある場合は、その部分に負担がかからない・痛みのコントロールなどを目的に、
- 固定(ギプス・装具など)
- 免荷歩行
- 痛み止めの内服
などの、治療を行っていきます。
もともと、変形性膝関節症がある場合は、治療中に合併症として現れることがあります。
痛風・偽痛風
痛風は尿酸結晶という物質が、偽痛風はピロリン酸カルシウムという物質が、膝関節の中に結晶化するもしくは沈着して起きる病気です。
非常に痛い。
- 血液検査
にて、尿酸結晶や炎症の値が高くなっていないかをみていきます。
治療に関しては、
- 安静
- 消炎鎮痛
- 尿酸値のコントロール
などがあり、安静をしつつ薬物療法で痛みを改善してきます。
痛風であれば、生活習慣の改善も非常に重要。
骨腫瘍
良性と悪性の2種類があり、良性は局所だけにとどまり転移しないもの、悪性は転移するもしくは転移してきた腫瘍になります。
どちらも原因不明の痛みや腫れを発症することが多いです。
腫瘍ができると、骨が弱くなり骨折を起こしやすくなるため、それでみつかることもあります。
診断は、
- レントゲン検査
- MRI検査
- 腫瘍マーカー
上記です。MRIなどでしっかり確定することが重要。
治療法は、
- 薬物療法
- 切除術
などがあり、腫瘍の種類や、進行状況によって変わります。
腫瘍に関しては、早期発見、早期治療が非常に重要なので、いつもと痛み方が違う場合は、急いでお医者さんにかかったほうがいいかもです。
長く変わらないようだったら、まず疑おう
ということで、変形性膝関節症以外にも、日常で遭遇する膝関節の病気は多くあります。
✔原因を突き止めて、適切な治療を
上記が非常に重要です。
原因に合った治療を行わないと、効果は出ないです。
特に、リウマチや腫瘍に関しては、初期の治療スピードってすごく大切。
手遅れになる前に、早めに発見し、治療を開始する必要があると思います。
早く治療を開始するためには「いつもと少し違う」という感覚を大切にするのがいいかもです。
いつもと痛みが違う → なんかおかしい → 病院 → 発見
この流れが早ければ早いほど、治療が始まるスピードも早くなり、進行も軽い段階で止めることができます。
重症になる前に、今のひざの痛みを見直してみてはいかがでしょうか?
今回は、これくらいで終わりにします。
ひざの状態が、自分でよくわからない場合は、下記から気軽にご相談くださいませ。